月刊プロジェクタ vol.32

8/31/2018

2018.8.31 vol.32
INDEX

1)Public Art Research Center 8[PARC8:橋をかける]9/22-9/30開催決定!
2)   清水裕子さん講演「ソーシャリー・エンゲイジド・アートの動向について
」テラス計画にて9月13日(木)19時から開催。
3)「BENIZAKURA PARK ART Annual 2018」紅櫻公園にて9月15日まで開催中。
4)  「第7回札幌500m美術館賞」募集中。9月15日募集締切。
5)   9月15日より「第1回 札幌駅前通AWARD」募集はじまります。
6)「Sapporo Charm Point 5」テラス計画にて9月29日まで会期延長。
7)「絵画の現在地」500m美術館にて10月3日まで開催中。
8)「ハタラク計画読書会」-これからの働き方を考える、ライフシフト読書会-テラス計画で10月31日、11月21日に開催。
9)   第6期「500メーターズ」メンバー、絶賛募集中。
10) 「テラス部」テラス部員、超絶大募集。
11)「自転車ジェットとばして」足立岬
12)「アニメみち」黒岩絵里子
13)「部屋と積読と私」櫻田竜介
14)「プロジェクタノート」高橋喜代史
15)「人生最後の日に見たい作品」vol.3 山本雄基(画家)

 



1) Public Art Research Center 8[PARC8:橋をかける]9/22-9/30開催決定!

 

 Public Art Research Center[PARC](パーク)は、1日約7万人が通る地下歩行空間の広場を舞台に、現代のパブリックアートとパブリックスペースを多角的に考察していくアートプロジェクトです。地下歩行空間は札幌の中心部の札幌駅と大通駅をつなぐ地下通路で、両脇には人々が滞留し、活用できる広場を設置している全国的にも珍しい空間です。通行部分12mを絶え間なく行き交う人の流れはまるで川のようであり、両脇の広場を分断しています。意図を持ってアクセスしないと繋がりがわからない断絶、そのジレンマを起点に8回目となる PARCのテーマを「橋をかける」としました。PARCが考える公共は、遠い土地、知らない人々、未来や過去、自分とは違う環境や立場を想像し、対話し、共に考え、何かを作る時間と空間を共有すること。それを実装する場所がPARCであり、利己的に分断されつつある社会にかかる小さな橋になればと考えます。
 

●作品展示
9月22日(土)〜 9月30日(日)12:00 〜 18:00|憩いの空間E, W   
出展作家|⻘木陵子+伊藤存、金氏徹平
●アーティストトーク
9月22日(土)18:00 〜 19:30|テラス計画(札幌市中央区北2西4赤れんが テラス5階)
入場無料
●講演「観光客の哲学と公共空間」
9月29日(土)18:30 〜 20:30| 北3条交差点広場(西)|入場無料・先着100名(要予約)
登壇者|東浩紀
●DIYスタジオ 
9月22日(土)〜 9月30日(日)  ①12:00-14:00  ②14:00-16:00  ③16:00-18:00 ※9/29(土)は実施しません。
材料費1000 円〜|各日3名程度(予約優先)          
木材でイスなどを自由に作ることができるスタジオ。のこぎりやインパクトドライバーを使って、実際に木工制作ができます。(スタッフが制作のお手伝いをします)

※内容は都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。
※「東浩紀 講演」と「DIYスタジオ」への参加は、こちらから事前にご予約ください。(空きがあれば、予約なしでもご参加いただけます)

Public Art Research Center 8[PARC8:橋をかける]
日時|2018年9月22日(土)〜9月30日(日)|12:00〜18:00
会場|札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)憩いの空間、北3条交差点広場(西)
主催|札幌駅前通まちづくり株式会社 共同企画|一般社団法人PROJECTA 
お問い合わせ|011-211-6406|terracekeikaku@gmail.com

https://www.sapporoekimae-management.jp/
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2)  清水裕子さん講演「ソーシャリー・エンゲイジド・アートの動向について」テラス計画にて9月13日(木)19時から開催。
 

 2018年7月に出版されたばかりの「ソーシャリー・エンゲイジド・アートの系譜・理論・実践」の共同執筆者である清水裕子さんの講演を開催します。まだまだ馴染みの薄いソーシャリー・エンゲイジド・アート(社会に関与する芸術)についてのお話を伺える貴重な機会となります、どなた様もお気軽にお越しいただけますと幸いです。

「ソーシャリー・エンゲイジド・アートについて」
日時 | 9月13日(木) 19:00〜20:00
会場|眺望ギャラリーテラス計画(札幌市中央区北2条西4丁目1赤レンガテラス5階)
参加費 | 無料
登壇者 | 清水裕子(特定非営利活動法人アート&ソサイエティ研究センター)
講演内容 | ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)について、SEAの事例紹介、書籍の紹介など

清水裕子
アート&ソサイエティ研究センター副代表理事、大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員。南カリフォルニア大学大学院修了。パブリックアートのディレクションや展覧会に携わり、アートと環境、社会との関係を研究。2009年アート&ソサイエティ研究センターを共同設立。
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3)「BENIZAKURA PARK ART Annual 2018」紅櫻公園にて9月15日まで開催中。

 北海道命名150周年という節目の年(2018年)に新しい創造性の発信をコンセプトとした国内外のアーティストによる現代アートプロジェクトが開催中です。作品展示は公園内の野外を中心に行い、豊かな自然環境を活かす展示となります。ぜひご覧ください。

参加アーティスト
kugenuma(Kio Griffith +港 千尋) 、木本 圭子、高橋 喜代史、土田 俊介、中島 洋、東方悠平、祭太郎、山田 良

日時|2018年8月11日(土)〜9月15 日(土)10:00〜19:00 (月曜休園)
入園料|300円  駐車場完備
会場|紅櫻公園  札幌市南区澄川 389-6 
WEB| 
http:// http://www.benizakura.jp
主催 | 特定非営利法人 CAN 
共催 | 株式会社 紅櫻公園 北海道自由ウヰスキー 株式会社 北海道自由ワイン株式会社 
企画 |  CAI現代芸術研究所(有限会社クンスト)
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4)「第7回札幌500m美術館賞」募集中。9月15日(土)募集締切。

 500m美術館では、2018年度も現代アートの作品プランおよび企画プランのコンペティション「第7回 札幌500m美術館賞」を実施します。500m美術館のガラスケース(幅12,000mm × 高さ2,000mm × 奥行650mm)2基、全長24mの作品展示プランを募集。アーティストの個展、キュレーターによる企画展、作家同士のグループ展など、ガラスケース2基の空間を生かしたプランの中から4組を選出。二次審査通過者4組には「500m美術館賞グランプリ展」で実際に展示してもらい、その中から1組をグランプリに選出します。たくさんのご応募をお待ちしております。

■ゲスト審査員
服部浩之
(キュレーター/秋田公立美術大学大学院准教授/アートラボあいちディレクター)

■審査員
三橋 純予 (北海道教育大学岩見沢校美術文化専攻教授)
吉崎元章(札幌文化芸術交流センターSCARTSプログラムディレクター)

 

■応募先およびお問い合わせ先
有限会社クンスト 担当:佐野
〒060-0042 札幌市中央区大通西5丁目8昭和ビル地下2階
Tel:011-802-6438(13:00-19:00 日祝休)
E-mail:500mmuseum@gmail.com

応募要項や応募用紙はこちらからダウンロードいただけます。
皆様からのご応募お待ちしております!
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5)   9月15日より「第1回 札幌駅前通AWARD」募集はじまります。

 この秋から始まる新しいAWARDのお知らせです! 札幌駅前通をもっとクリエイティブに、もっと面白くなってほしいと生まれたアワードです。アート部門とまちづくり部門の2部門でスタート!
第1回目はテラス計画を舞台にした作品プランとまちづくりのプランを募集します。「創造の場」であるテラス計画の空間を生かし、独創性のあるアート作品のプランや、まちの活性化につながる波及性・持続性・共同性の効果が期待できるプロジェクトのアイデアをお待ちしております。

詳しい応募方法や規定については、応募開始時に立ち上がるテラス計画HPにてご確認ください!

■募集期間 |2018年9月15日(日)~2018年11月15日(木)
■賞|最優秀賞各部門1点 賞金30万円 テラス計画でのプランの実現
■審査員|
[アート部門]
小川希(Art Center Ongoing 代表/テラトテラチーフディレクター)
端聡(美術家/アートディレクター)
今村育子(美術家/札幌駅前通まちづくり株式会社)

[まちづくり部門]
藤村龍至(建築家/東京藝術大学准教授/株式会社RFA代表取締役)
酒井秀治(まちづくりプランナー/SS計画代表)
白鳥健志(札幌駅前通まちづくり株式会社 代表取締役社長)

■主催|札幌駅前通まちづくり株式会社
■共同企画|一般社団法人PROJECTA
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6)「Sapporo Charm Point 5」テラス計画にて9月29日まで会期延長。

カメラを持ってまちを歩きながら、まちの魅力を発見するワークショップの第5弾。今回はアートとまちづくりの学校「Think School」の講義として、スクール生が「駅前通 十街区」(=北大通から北4条までの札幌駅前通をはさむ東西1ブロックのエリア)にて撮影した写真を展示します。会期が延長し、9/29(土)までの開催となりました。ぜひご覧ください!

展示|2018年8月18日(土)〜9月29日(土)11:00~20:00
会場|眺望ギャラリーテラス計画(札幌市中央区北2条西4丁目1赤レンガテラス5階)
出展|荒木謙吾、岩城央子、岩崎麗奈、梅津一美、小川史洋、金子亮、川原里奈、菊田尚、小里純子、篠原ゆかり、鈴木大介、髙橋由珠、高松希、田岸伸一郎、玉置雄大、内藤真実、馬場あさひ、濱田智紀、古月まなみ、槙亜侑美、松尾澪、山崎愛彦、鷲尾幸輝、和島ひかり
写真ワークショップ講師・展示監修|酒井広司(写真家)
コーディネート|窪田映子((株)KITABA)、酒井秀治
主催|札幌駅前通まちづくり株式会社

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7)「絵画の現在地」500m美術館にて10月3日まで開催中。

500m 美術館では初となる絵画の展覧会「絵画の現在地」が開催中です。 色彩や明度、形や造形、空間、構図、物質性、筆跡や痕跡、テーマなど絵画が持つ魅力や見所は多々ありますが、 インターネットや映像ストリーミングにおいて画像や映像などのイメージが溢れる現代社会のなかで、 絵画を描き続ける画家たちの思考や想い、根源的な表現欲求にふれることができないかと考えました。 本展は絵画でしか成立しない複雑な平面空間を思考し、多彩な画面構築に取り組む画家たちの作品を一堂に展示することで、 絵画が持っているダイナミズムや美しさ、奥深さや幅広さをより一層身近に感じられる展覧会となっています。皆様ぜひご覧ください!

<出品作家>

荻野僚介、笠見康大、佐藤克久、小林麻美、武田浩志、中田有美、西田卓司 、野原万里絵、久野志乃

<企画概要>
日時|2018年7月14日(土)~2018年10月3日(水)
時間|7:30~22:00
会場|札幌大通地下ギャラリー500m美術館
住所|札幌市中央区大通西1丁目〜大通東2丁目
(地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前駅間の地下コンコース内)
企画担当|高橋喜代史(美術家/一般社団法人PROJECTA)
企画協力|鈴木悠哉(美術家)、山本雄基(画家)
協力|児玉画廊、さっぽろ天神山アートスタジオ、寝床AIR、東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
主催|札幌市
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8)「これからの働き方を考える読書会”ハタラク計画”」テラス計画で10月31日、11月21日に開催します。
 

 

『ライフシフト』は話題になった本ですので、タイトルを聞いたことのある方も多いのではないでしょうか?「いまの20代のうち、約半数は100歳まで生きる」などなど、衝撃的な内容の多い本ですが、今後の自分の生き方・働き方を考える際、とても役立つ本です。その『ライフシフト』をもとに自分の今後の働き方を考える読書会「ハタラク計画読書会」を赤れんがテラス5階で開催します。本を読んでいない方でも講師が解説をしてくれるので、今後の生き方・働き方に直結する役立つ知識を学ぶことができます。ぜひ一緒に考え、話し合う中であなたの仕事と人生を好転させる知恵を学んでみてください。本を読んでいる方はもちろん、本を読んでいなくても参加できます!
 
「ハタラク計画読書会」-これからの働き方を考える、ライフシフト読書会-
日時| 10月31日(水)18:30-20:00 第1〜第4章(1~168ページ)
   11月21日(水)18:30-20:00 第5〜終章 (169~399ページ)
会場|眺望ギャラリーテラス計画(札幌市中央区北2条西4丁目1赤レンガテラス5階)
参加費| 1,500円(ワンドリンクつき)
講師| 藤本研一(キャリアアップ文章アドバイザー/作文教室ゆう代表)
主催 | 札幌駅前通まちづくり株式会社
 
講師プロフィール 
藤本研一(ふじもと・けんいち)
早稲田大学教育学部・早稲田大学大学院を修了後、札幌-帯広にて高校教員として勤務後、独立。現在は「札幌駅前 作文教室ゆう」代表として社会人にキャリアアップのための文章の書き方を伝えている。
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9)第6期「500メーターズ」ボランティアメンバー絶賛募集中

 500m美術館の企画・制作・管理・運営など業務をサポートしてくれるボランティアのアートマネジメントチーム「500メーターズ」のメンバーを今年も大募集。500メーターズは毎年メンバーを変えながらも今まで6回の展覧会を企画してきました。展覧会の企画立案、設営撤去、制作補助、予算管理等から実施までを500メーターズで行います。

詳細はこちらからチェックしてください。
http://500m.jp/news/3977.html
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10)「テラス部」部員超絶大募集!

 

月1度、テラス計画に集まって開催するテラス部。今年度から参加する部員を大募集中!お気軽にご参加ください。テラス部とは、月一回定期的に集まって、テラス計画を使って楽しいことを考えていく部活動です。顧問は酒井秀治さん(まちづくりプランナー)です。

詳細はテラス計画のFB、ブログをチェックしてください。

https://www.facebook.com/terracekeikaku/
ご参加される方のお名前、ご連絡先を明記のうえお申し込みください。
メール|terracekeikaku@gmail.com  電 話|011-211-4366
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11)「自転車ジェットとばして」

 

今年は夏がとっても短かった気がします。せっかく出かけても雨にあたったりしてしまい、夏っぽい思い出はあまりありません。北海道の夏フェス、ライジングサンロックフェスティバルに行ったのですがそれも雷雨にあたり、残念な気分になっていました。

ところで私は夏フェスが好きです。それも1日で終わるやつじゃなくて2日間以上のもの。明日のことを考えなくて済み、しかも、きっと、明日も楽しいことしかないに違い無いと思いながら過ごせるのがとっても気持ちいいのです。

ライジングサンでは毎年同じメンバーでテントを張っていますが、去年その中から夫婦もできちゃいました。何が起きるかわからないけれど、出来事はたいていハッピーなのが夏フェスの魅力だと思っています。


足立岬(一般社団法人PROJECTAコーディネーター)
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12) 「アニメみち」

 

 


「はんかくさい」
 

小学生からの親友にさっちゃんという子がいる。
 
彼女は天才的に面白くて、変で、はんかくさかった。
 
彼女がいれば私はとにかく楽しくて、いつも刺激的なはんかくささに魅了されていた。
 
「ちびまる子ちゃん」の主人公のまる子とそっくりだった。
父親が酒好きで、酔うとどうしようもなくふざけるところまでも似ていた。
 
彼女とは大人になるにつれて徐々に離れ離れになったのだけれど、
そのお互いの成長が少しさみしい感じだったりもした。
 
先日、さくらももこが亡くなって、すぐにさっちゃんと自分のことを思い出した。
何とも言えないさみしさがこみあげてきて、まる子が死んだ事がさみしいのか、さっちゃんと私が疎遠になったことがさみしいのか、よくわからなくなった。
 
小学生の頃の私は、ちびまる子ちゃんの世界に生きていて、毎日まる子にそっくりな親友と遊び、その二人のはんかくささに憧れて、自分もこんな凄いはんかくさい人間になりたいと憧れた。
 
大人になった今でもすぐに小学3年生の気分にさせてくれる世界。
 
もっとはんかくさく生きなくては、人生がもったいないな。
 
明日から、気を引き締めてはんかくさく生きよ。
 
追悼の意を込めて。
 
ちびまる子ちゃんは私のバイブルなのだから。

黒岩絵里子(一般社団法人PROJECTAコーディネーター)

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13) 「部屋と積読と私」

 



『感性は感動しない』

 

ぼくが美術にのめり込んでいくきっかけは、高校2年生のとき。

 

近所の本屋でたまたま手にしたのが、「現代アートビジネス」(小山登美男)。なぜ、いきなり「ビジネス」と名のつく本を手にとったのかはよく覚えていないが、このとき曲がりなりにも「公募展美術」ではなく、「現代アート」を選んだ自分をとりあえず褒めたい。そして、これを境に「芸術起業論」(村上隆)、「なんにもないところから芸術がはじまる」(椹木野衣)と続き、やがてアートの世界へずぶずぶと、はまっていくことになる。


前置きが長くなったが、今回取り上げるのは美術批評家・椹木野衣の初エッセイ集「感性は感動しない」。ぼくの読書遍歴の中でも、おそらく一番長くお世話になっている批評家である。これまでの彼の批評テキストでは、大衆に向けて講演をしているような語り口が多かったが、こちらはエッセイということもあり、カフェで友人にでも語りかけているかのよう。
 

第二章「本の読み方、批評の書き方」の中では、「文章にすることを前提にした読書」について、以下のような記述がある。
 

「本から本を伝って、行けるところまで行く。(中略)とにかく、そうやってバラバラの断片を好奇心だけを頼りにつないでいく、縫い合わせていく。そのときふと、まったく未知の風景が見えてくることがあるのです。道に迷わなければ、絶対に出くわすことのできない風景です。(p74)」
 

ここでは、過去の主著「シミュレーショニズム」との関連も覗かせながら、書くこと・読むことの神秘を身体感覚に基づいて語っているような気がして、好感が持てる。
 

ほかにも、自身の生まれや青年期、一児の父としての顔などを正直に語る本書は、一人の生きた人間が作品に対して言葉を発している(=批評をしている)という当たり前のことを再認識させてくれる。そしてそのとき、なぜだか少しほっとしている自分がいることに気付くのだ。


櫻田竜介(一般社団法人PROJECTAコーディネーター)

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14) 「プロジェクタノート vol.32」

 



8月上旬、家族3人でリバプール、ロンドン、ミュンヘンに行ってきました。仕事の合間に美術館やギャラリーで作品を見ていると、1歳11ヶ月の娘が「もう一回見たい!」と強く反応する作品がいくつかあったのですが、それは同時に僕も面白いと思っていたり、胸に迫る作品だったりしたのがとても興味深くて、44歳と1歳の感受性はそう遠くないのだなと。

とはいえ、抽象画などにはまったく反応せず、巨匠も若手もオールスルーなので反応する表現領域はまだまだ限られているし、足を止めるのは一定の派手さ、インパクトの強さ、映像作品か、人物が動いている、など共通する要素も多いのだけど、1歳の子供と大人が同じ作品を見て、同時に感動して、感覚を共有できるという、現代アートのもつ魅力の一つを発見できた旅でした。

 

ミュンヘン オリンピック広場


高橋喜代史( アーティスト / 一般社団法人PROJECTAディレクター)
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15)「人生最後の日に見たい作品」 vol.3  山本雄基さん(画家)

vol.1、2とプロジェクタスタッフの作品紹介が続いておりました「人生最後の日に見たい作品」。今回はアーティストの山本雄基さんにお話をうかがいました。今後はアートに携わる様々な人にこの難しい質問をぶつけていく予定です。どうぞお楽しみに!
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僕は絵描きなので、もちろん人生最後の日にも筆を握り、完成したての自身最後の最高傑作を目に焼き付けて息絶えるのが理想です!!
、、、で終わりにするのもなんだかなあ、ということで、自作を除いた回答をするならば、アンリ・マティスが手がけた、ロザリオ礼拝堂を挙げさせていただきます。

 

礼拝堂があるのは、南仏のニースからバスで1時間ほどのヴァンスという村。着いてびっくり、想像以上に質素で小さな教会です。しかし中に入ると、外観からは想像できない空間体験が待っています。

青、緑、黄色の葉のイメージでできた大きなステンドグラスを通した光が、色彩の純度を保ちながらメインルーム全体の白いタイルに拡散し、時間の経過によって揺れ続けます。

そのすぐ隣、観客が入れない小さな部屋に唯一、ステンドグラスを通さない外光が入ってくる場所があり、装飾を施されたドアの開口部分越しに見えるその光は、メインルームの光に応答し、補色の効果で柔らかなピンクに見えるのです。

教会に、明るい白、明るい緑、明るいピンク、、、なんて大胆な構成だろう。白い壁の上には、他の教会と同じように聖書の場面がなんと黒い線のみで描かれており、差し込む光と融合します。

コマの枠がなくなった漫画のような表現の中で、登場人物みんなが無個性的に描かれているし、各場面順に数字が振られていたり、場面同士が融合していたり。

見れば見るほど、さりげなく挑戦的で、複雑で、生と死の精神性を含み、画題の重みも受け止めつつ、軽やかで美しいのです。

 

マティスらしい拡張的なスケール感覚に包まれ、呆然と立ちすくんでしまいました。それは教会の形式そのものを解体して、丁寧に咀嚼して、再構築しているようでした。

 

僕はキリスト教徒ではないので、ヨーロッパの大きな教会に行くと、感動とはまた別に、少々の怖さだったり、ぎこちなさも感じます。

一方でロザリオ礼拝堂は、そんな異国人の僕でも居心地がよく、特定の宗教を超え誰にでも開かれたような、不思議な崇高さを持っていました。

人間ってドロドロしてて、よって芸術もまたドロドロしてるはずなのに、なんなんだこのブッ飛んだクリーンさは!

芸術を保ったまま、ここまでクリーンな表現に到達してるなんて、1つの奇跡じゃないか!

今までの美術鑑賞のなかでも特に印象深い体験でした。

 

人生最後なんだったらせめて、あの場所で感じたような、うわ~~~、、、という清純な気持ちでいたいと思います。ちなみにこの礼拝堂は、マティスが大病を患った後の78歳の時に引き受けた最晩年期の大仕事でした。

マティス自身も、人生最後の作品という覚悟で制作に向き合ったのでしょう。

 

山本雄基
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山本雄基|画家
1981年帯広市生、画家。2007年北海道教育大学大学院修了。2012-13年札幌市文化芸術振興助成金によるベルリン滞在。現在札幌在住。主な展覧会に、山本雄基展(板室温泉大黒屋/那須塩原,2015)、作品展(ギャラリー門馬/札幌,2016)、Multifaceted Acts(MIKIKO SATO GALLERY/ハンブルグ,2015)、VOCA展2014(上野の森美術館/東京,2014)、道東アートファイル2013(帯広美術館,2013)、など。主な受賞に、第5回大黒屋現代アート公募展大賞(板室温泉大黒屋/那須塩原,2010)など

http://yamamotoyuki.com

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一般社団法人PROJECTA
〒060-0002  札幌市中央区北3条西4丁目 赤れんがテラス5階「テラス計画」内
MAIL  info@projecta.or.jp 
WEB  
 http://www.projecta.or.jp/
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